30年後に恩返しした医師と料理人の野菜スープ物語
一袋の野菜スープを巡る感動物語をご紹介します。「与える事」の意味とは何なのでしょうか。(動画あり)
雑多な路地で、女性が子供から物を荒々しく取り上げています。
「こっちにおいで、泥棒! 見せろ、何を盗んだんだい?」
万引きした子供の手には薬と栄養ドリンクがありました。
「これをどうするつもりなの?」
「お母さんにあげるんだ」
そこへ見ていた男性が割って入ります。
「待て、お母さんは病気なのか?」
うつむいたまま、無言でうなづく子供。
男性は黙って商品の代金を建て替えてやり、女性に支払います。
そして野菜スープを取ってくるよう娘に指示しました。
どうやら料理屋の店長だったようです。
男性は野菜スープの袋に薬と栄養ドリンクを入れ、子供に手渡しました。
これを持って早く行け、というように男性が軽く頷いてやると、脱兎のごとくその場から走り去る子供。
それから時は移って30年後。
男性は今も変わらず料理店を続けており、大きくなった娘と一緒に切り盛りしています。
そこへ見窄らしい風体の人が両手を合わせて訪れました。
店主がそれに気付くと何やら袋に料理を詰めて、手渡しました。お金のやり取りはありません。
「ほら、持ってきな」
「次の注文は?」 と仕事に戻ろうとした店主が、突然後ろに倒れこみます。
慌てて駆けつける娘さん。
そこは病院です。
お父さんは未だ目覚めません。
娘さんが治療費明細を見ると、とても高額な金額が書かれています。
医師とも相談し、父を助けるためにやむなくお店を売家に出します。
病室で寝込む父の傍ら、途方に暮れる娘さん。
ベッドの上にある手紙に気付きます。
それは病院から改めて届いた治療請求書でした。
額面は、0円。
「すべての費用は30年前に支払い済み」
「3つの鎮痛剤と、1袋の野菜スープによって」
「心よりの敬意を」
感謝の言葉と共に、医師の名前がサインされていました。
この医師は、30年前に助けたあの盗みを働いた子供だったのです。
今では立派に医者として成長していました。
そして偶然にも、自分を助けてくれた人に恩返ししたのです。
なんと、この物語は実話をベースにしています。
米国で幼少期に貧しく、医師の勉強を諦めかけていた少年が、ある日少女からもらった一杯のミルクに勇気づけられました。
それから数十年が過ぎ、医師になった青年があの時の少女と再開した時、彼女は重い病気を患っていましたが、彼の懸命の治療により回復します。
彼女が病院から受け取った医療費請求書には金額ではなく、こう書かれていたそうです。
「支払いは済んでいます。1杯のミルクで」と
人に手渡すこと、与えることが最高のコミュニケーションであり、いつか報われる。
それは私達が望む社会であり、長く生きるほど身に沁みて実感する物語ですね。