不動産が主な相続税対象の場合 不動産所有者のための相続税対策2
前回の「相続税改正の概要 不動産所有者のための相続税対策1」では、2015年1月1日に改正された相続税についておさらいいたしました。
次に、不動産が主な相続税対象となる場合の問題点をあげてみましょう。お分かりのように不動産は、お金のように分けることが難しいものです。
基本、財産分けでもめないためには、遺言書を作成して、相続財産の行き先をはっきりすることが必要です。しかし、分けるのが難しい、土地、アパート、一棟ビルやアパートなど分割せずにだれか一人に相続させる旨の遺言を残した場合、遺留分の問題が起きてきます。
遺留分とは、被相続人(亡くなった方)の兄弟姉妹以外の相続人に対して保証されている最低限の相続財産の割合をいい、この相続財産の保証割合分を侵害するような行為を失わせることを「遺留分減殺請求権」と言います。
ですので、不動産が相続財産の大半を占めるご家庭では、生命保険の活用、換金しやすいものに変える、小口に分割する、相続資産の棚卸により優良資産と不良資産の分割、などの対策が必要です。
では、相続税対策として取れる方法は、どのようなものがあるのでしょうか?
相続税対策の2つの方法
大きく分けて下記の2つになります。
① 資産を減らす
これは、生前にお金を使ってしまうことが、その代表的な方法ですが、そのほかに生前贈与を使い、お金や資産を物理的に移動させてしまうこと、生命保険を使うなども、含まれます。
② 資産を減らさず、相続税評価額を減らす
相続税は、相続税評価額を基礎に計算されます。ですので、もとになる相続税評価額を下げれば、相続税の節税になるわけです。
たとえば、1億円の現金の相続税評価額は1億円ですが、それを賃貸マンションに変えれば、その土地建物評価額は、30%になります。さらに小規模宅地課税制度を使えば、なんと21%にも減額することができます。
これをまとめますと、金融資産を賃貸不動産に変えればトータル8割減も可能です。たとえば、金融資産1億円を賃貸不動産に変えた場合、最高税率55%が適用される方々は、55% x 80% = 44%、すなわち4400万円が節約できます。
しかし、不動産を使わなくても①の資産を減らすことによって実際の相続税対策をすることができます。それは、贈与を使う方法と生命保険を使う方法です。大体、相続資産1億円位まででしたら、これらの方法を使うことによって、相続税を回避することも可能になるケースもあります。
では具体的に資産が1億円の方の場合の相続税を見ていきましょう。配偶者と子供2人を相続人とするケース(一次相続)ですと、約315万円になります。
この315万円を節約するために、わざわざ高い不動産を買うことは、決してお勧めいたしません。不動産購入にかかるコストや購入後の値下がりリスクを考えれば、贈与を使った節税を行うべきです。
ただし、賃貸不動産を相続税対策で購入するのではなく、資産運用を目的として収益不動産を買い、それが相続税対策にもなるという考え方は大いにありうると思います。
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