ノーベル生理学・医学賞がスゴイ! 大隅さんの他に過去の日本人受賞者は? 今後の予想も
先日、大隅良典さんにノーベル生理学・医学賞の受賞が決定しました。大変喜ばしいお知らせですね。日本人の医学・生理学賞としては歴代4人目となります。
このノーベル生理学・医学賞は生理学および医学の分野で最も重要な発見を行った人物に与えられます。選考するのはスウェーデンにあるカロリンスカ研究所のノーベル賞委員会。ノーベル賞の授賞式や晩餐会が開かれることで有名なストックホルムにあります。
大隅良典さんの世界的な実績とは
大隅良典(おおすみ よしのり)さんは分子細胞生物学が専門の理学博士です。総合研究大学院大学、基礎生物学研究所、東京工業大学フロンティア研究機構などの栄誉教授に着任。
今回のノーベル賞は、空腹になった細胞が古いタンパク質を分解してエネルギー源にする「オートファジー」の仕組みを解明したことにより認められました。
この大隅さんがもたらした画期的な成果により今後考えられる具体的な発展としては、悪性腫瘍(癌)やパーキンソン病、 アルツハイマー病の特効薬が期待されています。いずれも人類を重病から救う可能性を秘めたテクノロジーですね。
研究当初から大隅さんにそうした着地点があったわけではなく、「寿命や癌につながる研究だと確信していたわけではない」とのこと。
もしかしたら結果に繋がらないかもしれない地道な基礎研究を何年も続けるのはとても大変なことです。その延長上に成果を実らせた大隅さんは、やはりスゴイといえるでしょう。
過去の歴代日本人受賞者はこちら
このノーベル生理学医学賞は、過去にも日本から受賞者が出ていました。いずれも医学史に名が残る多大な貢献をされております。
利根川進さん
生物学者の利根川進さんは1987年に同賞を受賞しました。抗体が自らの遺伝子を組み替えることであらゆる異物に対抗して撃退するメカニズムを突き止めた「多様な抗体を生成する遺伝的原理の解明」が認められました。抗体を発見したのが北里柴三郎で、その研究を完結させたのが利根川進だと祝われるほど重要な成果です。
山中伸弥さん
iPS細胞で一躍有名になりましたね。2012年に山中伸弥さんが受賞した「成熟細胞が初期化され多能性を持つことの発見」は現在リアルタイムで多くの新療法を生み出し続けています。最初の論文からわずか6年でのスピード授賞でも話題になりました。
大村智さん
中南米やアフリカの約2億人余りの人々に投与され、たちどころにフィラリアを駆除する特効薬イベルメクチンを開発した大村智さん。この新薬は大村さんが特許権を放棄したために、なんと「無償」で提供されています。2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。45年に及ぶ微生物研究により480種以上の有用な化合物を発見し、線虫感染症以外にも多大な貢献をされています。
今後ノーベル賞受賞が予想される研究者
さらに今後のノーベル生理医学賞候補として噂されている日本人研究者を紹介しましょう。
本庶佑さん
ノーベル賞予測として選出される「トムソン・ロイター引用栄誉賞」を今年受賞しました。ガンがT細胞から攻撃されないためのカムフラージュを阻害する「プログラム細胞死1(PD-1)およびその経路の解明によるがん免疫療法」を発展させた実績が評価されています。
森和俊さん
2014年にアルバート・ラスカー基礎医学研究賞というノーベル賞に並ぶ権威ある賞を受賞されています。糖尿病や双極性障害など様々な疾患の根本原因となる小胞体ストレスの仕組みを解明しました。
石坂公成さん
アレルギーを起こす原因の免疫グロブリンE(IgE)を発見しました。2月20日を「アレルギーの日」とするきっかけにもなった研究です。
坂口志文さん
この方もトムソン・ロイター引用栄誉賞を受賞しています。また、ノーベル賞の登竜門といわれるガードナー国際賞も受賞済み。アレルギー反応を抑制する制御性T細胞「Tレグ」を発見しました。
なんども言うけど2000年にノーベル賞とった白川さんは「昔は基盤校費が潤沢だったので成果がでるかどうかわからん研究ができた。ノーベル賞はそのおかげ。今は外部資金とってこなあかんので長期的な研究ができない。今後やばい」と繰り返し主張してたけど文科行政に黙殺されてるのは周知の通りです
— 増田聡 (@smasuda) 2012年10月8日
今後も日本からノーベル賞を受賞する望みが期待でき、大変誇らしいですね。予算や駆け引きなど研究を続ける上でも困難があるかと思いますが、さらなる成果に期待しましょう。