中高年はサルコペニア予防対策を! サルコペニア肥満の原因も知って長生き人生
いつまでも健康なアクティブライフを続けるために。40代、50代と加齢が進むにつれて筋肉量が減少し、握力や体幹筋など全身の筋力が低下することを「サルコペニア」と呼びます。歩くスピードが以前より遅くなったり、立っている時に手すりが欲しくなったりなど生活面での変化が見られたら要注意。長引く運動不足のため、いつのまにか全身の筋肉が落ちてサルコペニアに陥っているかもしれませんよ。
筋肉減弱現象「サルコペニア」
中高年の大敵「サルコペニア」の原因には加齢があります(一次性・加齢性・原発性サルコペニア)。その他に運動不足や疾患、栄養不良によるサルコペニア(二次性サルコペニア)があり、例えば長期間の無重力生活から地球に帰還した宇宙飛行士の筋力が著しく低下しているのも一種のサルコペニアです。高齢者の寝たきり生活で足腰を使わず筋肉が衰退する廃用症候群とも似ていますね。これらが進行すると日常生活に支障をきたすロコモティブシンドローム(運動器症候群)へと発展し、要介護状態が視野に入ってきます。
加齢以外に明らかな原因がない加齢性サルコペニアはアラフィフ、アラカン世代によくみられます。サルコペニアの診断基準としてはアジア人で握力が男性26kg未満、女性18kg未満、そして歩く速度が秒速0.8m以下が目安とされています。いつもの徒歩スピードで10秒間に8メートルを踏破できればセーフ、そうでなければサルコペニアの疑いあり。握力計は一般のご家庭には常備していませんよね。ホームセンターやスポーツ用品、大手家電量販店で試用するか、体力測定のためにスポーツクラブや病院等で使える場合がありますから、近隣で探してみてください。サルコペニアの原因は多岐にわたるため、関係する疾患の心当たりがある方は主治医に相談するのをお忘れなく。
運動不足や栄養不足、または老化現象の一部としてのサルコペニアに対する予防法は結局のところ食事と運動に尽きます。ただしやみくもにタンパク質を食べたり必要以上のオーバーワークは逆効果。中高年は胃腸も弱まっていますし、関節や運動神経も若い頃ほどベストではありません。ボディビルダーを目指した筋肥大ではなく、目的は筋肉量の維持。筋肉が分解される糖新生をできるだけ防ぐため、筋組織の原料となるアミノ酸、中でも必須アミノ酸のバリン、ロイシン、イソロイシン(BCAA)を積極的に摂取するとよいでしょう。
BCAAは筋たんぱく質の分解を抑制するだけでなく、膵臓からのインスリン分泌を促して筋肉形成を増大させてもくれます。まさにサルコペニアでお悩みの中高年にピッタリの効果。スポーツ選手が運動前にBCAAを摂取することで運動効果を高める使い方がよく知られています。サプリメントと聞くと躊躇する方がおられるかもしれません。一般的にBCAAはサプリメントの形で販売されているほか、スポーツドリンクやゼリー食品に含まれていることが多いです。薬品のような名前ですが純粋なアミノ酸にすぎないので処方箋も要りません。
悪循環が生む「サルコペニア肥満」とは
筋量減少のサルコペニアとメタボリックな肥満が合わさると、恐るべき「サルコペニア肥満」に発展します。筋肉量が減って基礎代謝が低下したコンディションに、カロリーを超過したら体重が増加するのは当然。サルコペニア肥満は運動しても脂肪を燃焼させるための筋肉が少ない悪循環状態なので、さらにメタボりやすい体質に陥っていると考えられます。さらに怖いのは体重は変化しないのに筋肉量が減る=体脂肪が増える「隠れサルコペニア肥満」。身体の見た目はさほど変わらないため気付きません。
数ヶ月、数年をかけてじわじわと筋肉と脂肪が逆転していき、サルコペニア肥満を自覚する時にはすでに遅し。短くなってしまった健康寿命を再び伸ばすのは非常に難しいので、常日頃からヘルシーでアクティブな日常を心がけておくことが大切です。ウォーキング、ジョギング、自転車などの有酸素運動と、ハーフスクワットや膝つき腕立てといった軽めの筋トレを組み合わせると効率が上がります。定年後の余裕ある時間で海外旅行したいまさにその時、満足に歩けない身体になっていないようサルコペニアという体質の危険性を覚えておくとよいでしょう。